「BEAT STREET」の影響で、ブレイキンをやりたくなった私は練習場所に困った。
自宅での練習は勿論無理だし、ある程度フロアが良い状態でないと出来ない為、チョットその辺で外練習と言っても、そうそう都合の良い場所はない。
が、都合の良い事に自宅から徒歩5分の場所に児童館があり、館内ではないが敷地内には最高の床があった。
更に、都合の良い事に児童館には大きなガラス張りの場所があり、夜には鏡のようになるし、建物の構造上、そのガラス張りの場所は屋根まで付いていた。
児童館の閉館後、敷地周辺はホームレスの寝床となっていたが、母校の小学校の隣に位置するこの児童館は、幼い頃からの遊び場で慣れ親しんでいた場所だったので何の問題もなかった。
そして、学校から帰宅すると「BEAT STREET」のビデオを何回かチェックして、この場所まで出かける。
目に焼き付けた動きに、思考錯誤しながらチャレンジする日々が続いた。
最初にチャレンジしたのは、バックスピンだったと思う。一番簡単そうに見えたから・・・。
その後、ドタバタしながらのブレイキンもどきの練習と、ガラスに映る自分を見ながら立ち踊りの練習。
タマにホームレスのおじさんに話しかけられたり、警察に声を掛けられたりしながら夢中に踊っていた。
実はこの場所、キャリアの長い東京のダンサーならば知っている人は多いと思うが美竹公園である。
後に、「ダンサーのメッカ」と呼ばれ、毎日100人以上のダンサーを目指す若者達が集まって、練習をしたり、情報交換をしていた場所だ。
ここでダンスを初めて始めたのは、私だったのです(笑)
時代的な流れで言うと、この後、しばらく私はココでの練習を続けていた。当時、ストリートダンスを志して練習をする者は、私の周りにはいなかった。
2,3年後、この公園から徒歩10分位の所にダンスの専門学校が出来た。「ヘルス&スポーツ」である。
厳密にはダンスだけの学校でも、学校法人でもなかったが、ダンサーを志す人間が多く在籍し、現在でも多くの卒業生が業界で活躍している。
正式名称は分からないが、後に「マッキー」と名前を変えたが、諸問題の為に現在は存在しない。(詳細は控えます。)
この「ヘルス&スポーツ」の生徒達が、練習している私を見て、この場で同じように練習を始め、後に彼らが後輩や生徒達に広めていった。
そして、人が人を呼んで、ダンサーの聖地と言われるまでの場所になってしまったのだ。(「ダンサーの聖地」は言い過ぎだと思うけど・・・)
美竹公園
本文でも紹介したように、数年前「ダンサーのメッカ」として都内では非常に有名な場所だった。
現在でも、各地区の練習場所で問題になっているゴミや騒音等の諸問題で施設側や住民とのトラブルも多かったが、双方の話し合いや、ダンサー達のマナー改善で何度か壁を乗り越えてきた練習場である。
現在、公園自体は存在しているが児童館の閉鎖により、そのスペースは消滅している。
盛り上がっていた当時、皆「ミタケ」と呼んでいたが、実はその児童館の敷地であった。