遂にその日はやって来た。1991年3月2日。S.I.JOE、最後の日である。
スタッフとして働く私は、開店前の店内を見渡し、色々な思いを馳せた。
我々が愛して止まないこの店と、この日限りでお別れとなる。
当然のようにスタッフの雰囲気も違う。只ならぬ緊張感も走っていた。
我々が愛して止まないこの店と、この日限りでお別れとなる。
当然のようにスタッフの雰囲気も違う。只ならぬ緊張感も走っていた。
この日はラストパーティーと銘打って、我々JAZZ BOOのショーの他に目玉となるショーケースが用意された。
大阪の有名ポッパー達によるフリースタイルセッションである。
当時、「DANCE DANCE DANCE」の出演をきっかけに、都内でも大阪のダンサー達が再注目された時期であった。
OHJI氏の計らいで、この様なショーケースが用意されたようだ。
大阪の有名ポッパー達によるフリースタイルセッションである。
当時、「DANCE DANCE DANCE」の出演をきっかけに、都内でも大阪のダンサー達が再注目された時期であった。
OHJI氏の計らいで、この様なショーケースが用意されたようだ。
開店後、いつものハウスパーティーの様に常連達を中心に、続々と客が雪崩れ込む。
ただ、彼らもいつもとは雰囲気が違う。
店内隅々を確認するように眺め、別れを惜しむ姿が目立った。
ただ、彼らもいつもとは雰囲気が違う。
店内隅々を確認するように眺め、別れを惜しむ姿が目立った。
「本当に終わるんだ。」この光景を見て改めて思った。
私はこの店の従業員という側面も持ち合わせていた為、予想を大きく上回る数の客の対応に追われ、時間が過ぎて行った。
他のメンバー達は、場所を見付けては振付の確認、練習、そしてこの店では最後となる仲間達との交流を楽しんでいた。
他のメンバー達は、場所を見付けては振付の確認、練習、そしてこの店では最後となる仲間達との交流を楽しんでいた。
そうこうしている内に、この夜のメインとなるポッパー達によるスペシャルセッションが始まる。
観客たちは椅子の上、カウンターの上にまで上り、壁のようになってフロアの周りを取り囲んだ。
観客たちは椅子の上、カウンターの上にまで上り、壁のようになってフロアの周りを取り囲んだ。
ショーが始まると大阪のダンサー達に加え、当時東京で活躍していたポッパー代表として、YANAGI氏【GYPSY】、KUROMA氏【JUNGLE】、OZ氏【MEGAMIX】等も参加の豪華東西ポッパー大会となった。(【】内は当時の所属グループ)
国内でも有名なポッパー達のソロセッションは、衝撃の連続。
OHJI氏の進行の元、次々にハイクオリティなパフォーマンスが繰り広げられた。
(今、当時のビデオを見てもクオリティの高さを感じます。本当に凄いセッションでした。)
OHJI氏の進行の元、次々にハイクオリティなパフォーマンスが繰り広げられた。
(今、当時のビデオを見てもクオリティの高さを感じます。本当に凄いセッションでした。)
当時、多くの一般クラバーはポッピンと言うダンスジャンルに関心が高い者が少なかったが、このショーの最中は、そんなクラバー達の目もこのパフォーマンスに釘付けとなった。
勿論、私を含むダンスを志す仲間達は、そのパフォーマンスに衝撃を受け、ポップの素晴らしさを再認識させられた。
勿論、私を含むダンスを志す仲間達は、そのパフォーマンスに衝撃を受け、ポップの素晴らしさを再認識させられた。
OHJI氏からのJOEに対する感謝の気持ちが実現させた本当に素晴らしいショーケースだった。
ショーの終了後、一気に上りつめたボルテージは一瞬落着きを取り戻すが、ラストパーティーの盛り上がりは時間が経つと共にどんどんと増して行く。
そして、我々のこの場所での最後のショータイムが始まる。
ショー直前の我々のテンションは異常に高かった。
店の最終日と言う事よりも、今まで以上に知った顔の前で、堂々とパフォーマンスが出来る事に興奮していたのであろう。
先程、次元の違うパフォーマンスを披露した先輩方や、この店に別れを告げに来た諸先輩有名ダンサー達の顔も多かったが、不思議と彼等の存在が緊張の原因にはならなかった。
ショー直前の我々のテンションは異常に高かった。
店の最終日と言う事よりも、今まで以上に知った顔の前で、堂々とパフォーマンスが出来る事に興奮していたのであろう。
先程、次元の違うパフォーマンスを披露した先輩方や、この店に別れを告げに来た諸先輩有名ダンサー達の顔も多かったが、不思議と彼等の存在が緊張の原因にはならなかった。
ステージが始まり、10分ほどのパフォーマンス。
あっという間に過ぎ去った時間だった。(一枚だけ当時の写真が残っていました。)
仲間達や客の声援、歓声はしっかり耳に残った。
必死だったのであろう。踊りながら悲しみは感じなかった・・・。
必死だったのであろう。踊りながら悲しみは感じなかった・・・。
しかしショーケース終了後、仲間達が賞賛の声をかけに来てくれると、彼らの顔を見て、
「終りなんだな~・・・・・」 急にそんな気持ちが沸き出た。
「終りなんだな~・・・・・」 急にそんな気持ちが沸き出た。
女性メンバー達は、泣きじゃくっていた。
ダンスの出来がどうこう言う事ではなく、彼女たちも「LAST」という言葉を実感したのであろう。
ダンスの出来がどうこう言う事ではなく、彼女たちも「LAST」という言葉を実感したのであろう。
全てのショーケースが終わってからは、常連仲間で異常に盛り上がったのを覚えている。
勿論、多少は業務もこなしたが・・・
勿論、多少は業務もこなしたが・・・
最後の時間が近づくに連れ、爆発的に盛り上がる店内で異常な行動を取る者達を生む。
店舗破壊行動を行う輩が出てきた!笑
その中心には不思議な事に、以前より交流のあるMORE DEEPのスネークがいた。
(そんな事をするキャラではないような気がしていたけど・・・)
何やら「どうせ今日で終わりでしょう~!!」等とオネエキャラ全開の口調で、力任せに店内の装飾を粉砕していた・・・笑
(そんな事をするキャラではないような気がしていたけど・・・)
何やら「どうせ今日で終わりでしょう~!!」等とオネエキャラ全開の口調で、力任せに店内の装飾を粉砕していた・・・笑
これには本当に驚いた(笑った?)が、今では良い笑い話だ。
そんなメチャメチャな状況で伝説の「S.I.JOE」は、閉店を迎えたのであった。
そして、私は自分達の新たなる道を探し始める事となる。