DANCE HISTORY OF A MAN

0002_誕生!?

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Dance History Of A Man
そんなこんなでギャラリーに混じり、ダンスを凝視しているとシュンがこちらに気付く。
「おおっ、来たね!」
彼はニコニコしながら近づいてきて、他のダンサー達に私を紹介し始めた。

 

「一回しか、しかも十数分しか話していないのに・・・いいのかな」などと思いながら、
愛想笑いを振りまきダンサー達に挨拶をした。勿論、全員年上のお兄さん、お姉さん達だった。

 

その後の時間は、只のギャラリーではなくダンサーの仲間としてサークルを作るメンバーとなる。
ダンスなんか全く出来ないが、その場の空気をダンサー達と共有している事に少し興奮を覚えた。

 

今の時代みたいに、タレントが踊れる時代ではないし、バックダンスはスクールメイツだし、
ましてやダンス番組なんてあるわけない。

 

映画「フラッシュダンス」「ブレイクダンス」で多少話題にはなったが、まだまだ世間一般的にもストリートダンスが珍しい時代。

 

サークルのメンバーでいる事によって、その世界を形成する一員になったと錯覚していたのだろう。あれは気持ち良かった・・・

 

この歩行者天国、「ホコテン」は夏場は13:00~18:00、冬場は13:00~17:00まで行われている。
この日、何時に現場に行ったかはまったくもって覚えていないが、数時間、18:00になるまでダンスに心を奪われていた。

 

そして、ここからが今考えるととても信じられない展開になる。

 

ホコテンも終わり、道路脇で皆が帰り支度をしながら話していた。
「チーム名どうする?」「シンプルなのがいいんじゃない?」

 

今まではちゃんとしたグループとしてではなく、何となく気のあった仲間で技を披露しあっていたらしいが、
チームとしての活動を考えているらしい。

 

彼らの話がまとまってきた時、メンバーの1人が私に向かって「君も入りなよ!」
「!!!・・・なんですと?」
他のメンバーも「ああ、一緒にやろうよ!」
この人達は何を言っているんだろう?
さっき初めて生のダンスを見て、全く何も出来ない自分をグループに入れると・・・

 

しかし、その時の私もすごい!
その時のその空気を共有していただけでその気になり、あっさりOK!(マジで・・・汗)

 

こうして、ダンスの「ダ」の字も知らないストリートダンサーが誕生してしまったのです。