DANCE HISTORY OF A MAN

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Dance History Of A Man
s.i.joe 05
店長本宮氏が出してきた提案。それは私の気持ちを一気に揺るがした。

 

それは、「従業員になれば、このS.I.JOEでイベント時にダンスのショーをやらせてやる」というモノだった。

 

当時はダンスイベントなども少なく、ましてや我々のような駆け出しのダンサー達が踊りを披露できる場所などなかなか無い状況。
しかも、ダンサーの登竜門と呼ばれ、偉大な先輩達がショーを行うこの店で、自分達のショーが出来る!
とんでもない事だった。というか、反則だ!(笑)

 

この店で踊れるという事は、自分達の名前を売るにも、人脈を作るにも、当時の私にとってはとんでもない利点だった。

 

本来なら飛びつくべき事ではあったが、前述した従業員というものへの偏見がわたしを悩ませた。

 

従業員になるべきか、従業員にならずとも、この店で踊れる存在になる努力を重ねるべきか・・・
いくら考えても行ったり来たりである。

 

行き詰った私は、ダンスの大先輩で、この頃にはあらゆる面で絶大な信頼を寄せていたCHIZUKOに相談をしてみる事にした。

 

S.I.JOEのVIP席で話した事を今でも良く覚えている。

 

とりあえず私は、事の経緯を説明した。

 

彼女は最初、少し驚いてはいたが私の話を聞き終わると少し考えて口を開いた。

 

「GOは何になりたいの・・・?」

 

この言葉には驚いたというか意表を突かれた。
自分はダンサーとして少しでも早く大成しようとしているという事を再認識させられた。

 

そして彼女は続けた。
「自分の目標の為にあらゆる物を利用して、それを最大限に活かす覚悟は出来てるんでしょ。
自分の中で嫌な事や辛い事を乗り越えないで理想の自分が出来るなんて事はありえないんだよ。
ダンスの世界でどうにかなろうなんて、生半可な気持ちじゃ出来ない事はGO自身が分かってるじゃん。
こんなに早くJOEでショーが出来るチャンスをみすみす逃すはもったいないし、クラブの店員のイメージが嫌なら、GOが変えてやれば良いんじゃない。
私は悩むポイントが違うと思う。やるかやらないかじゃなくて、どうすれば全てプラスにして行けるかじゃないかな。
あなたはダンサーとして少しでも早く有名になるんだよね?
大きな目標がはっきりと見えているんだったら、目の前の試練は全て利用してやりなよ。
止まってると他の誰かがドンドン前に行っちゃうよ。」

 

全てが彼女の言ったままだった。
私は、先の目標ばかりで今何をすべきかを模索していた。いや、模索していたのではなく目をそらしていたのである。
心の中で決めた覚悟が、まだまだ甘く、実際の行動に伴っていなかった事に気付かされた。
私は知らず知らずのうちに、自分自身をごまかして楽な道を選ぼうとしていたのだろう・・・

 

「私はクラブの従業員だろうが、ホストだろうが関係ないと思うよ。だって、GOはGOじゃん!やりたい事の為に、常に前進した方がGOらしいよ。」

 

有り難い言葉だった。CHIZUKOには本当に感謝だ。
私の心は固まった。最初から、そうしなければいけなかったのだろう。

 

彼女と話をした直後、店長本宮氏の元へ行き挨拶をした。
「お世話になります。よろしくお願いします!」

 

こうして、クラブの従業員GOが誕生。
CHIZUKOの言葉が間違いでは無かった事を、この後何度も感じる事となる・・・。

DJ SHU

ちなみに写真はJOEで一緒に働いていた仲間だが、私の隣に移っている人物は現在、大御所DJとしてマハラジャ、ベルファーレやalife等で活躍したSHUである。
ユーロの第一人者となっているようだ。当時は、私と同じように一般従業員として働き、その後にJOEの見習いDJとなった。
後に彼にショーパッケージの音源編集なんかもしてもらっていた。
この頃我々は、それぞれダンサーとDJへの夢をお互いに語りながら下積みをしていた。
いわゆる戦友の1人だ・・・・・・懐かしい(笑)
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