DANCE HISTORY OF A MAN

0053_オーディション

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Dance History Of A Man
s.i.joe 06
ダンスの為にとS.I.JOEの従業員になったが、高校時代から続けていた居酒屋のバイトも継続していた。
平日は夕方6時から12時まで居酒屋、希に1時から3時までクラブ、週末は同じように深夜12時まで居酒屋、朝6時までクラブと働く。

 

午前中睡眠を取り、ダンスの練習やビデオチェックをバイトの時間まで繰り返す。
この頃はこれが日常だった。

 

そして、以前エントリーした「DANCE DANCE DANCE」のオーディションの日がやってきた。
大きな目標の一つで、合格すれば夢への階段を一歩上がれるチャンスだ。

 

自分達なりに試行錯誤し、当時の我々のスキルとしては納得する作品は出来たつもりだった。

 

オーディション会場、フジテレビのリハーサル室に入ると数組のダンサー達がスタンバイしていた。
どうやら他の参加者が見ている前でのオーディションのようだ。
敵になりうるダンサー達に手の内を見せるのは、正直辛かったが、逆の意味では他の参加者がどのような傾向で攻めて来るかを確かめるには良いチャンスだった。

 

簡単な手続きを済ませ、しばらく他のダンサー達の作品を観察していると我々の順番が回ってきた。
急に緊張に襲われたが、ここで落とされては元も子もない・・・・・。

 

平静を装い踊り始める。

 

この時の内容といえば・・・・・出来などは、やはり自分では良く覚えていない。

 

しかし、審査をしていたSAM氏の言葉はハッキリと覚えている。
ダンスの流れの中で、山が無いんだよね。見せ場というか・・・、こういうチームだったよねっていう印象というか・・・。もっとインパクトというか特徴かな?それがあると、もっと良くなるよ。あ、でも俺はこのグループの衣装好きです。」

 

なるほど・・・・・勉強になる。

 

衣装は好きなのか・・・・・笑

 

しかしこれだけ言われると、また出直しであろう。悔しくはあったが、自分達の作品にヒントを貰った私は、改善後の再度挑戦を覚悟した。

 

結果は参加者達全員が踊った後、審査時間を設け、直ぐに発表された。
落ちる覚悟は出来ていたが、それでも少しの望みを掛けて自分達のチーム名を呼ばれるのを待つ。

 

すると「JAZZ BOO」・・・・・・呼ばれた!

 

「えぇ~!!」

 

意外とあっさりと呼ばれた。なんと予選通過。自分達が一番ビックリだ(笑)
番組出演決定である!

 

我々はニヤニヤしながら少しの自信と、タナボタ的な喜びを感じながら意気揚々と会場を後にした。

 

そして私はSAM氏のアドバイスをどのように対処するかを、この瞬間から考え始めた。
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